
『京野菜』。
夏だと、「賀茂なす」と「万願寺とうがらし」。
京都の料亭で京料理の食材として長年親しまれてきたもので、とにかくおいしい。
賀茂なすは、なすの女王様といった趣きで、田楽や揚げびたしにすると、その肉質のきめ細かさと上品な甘みに思わず顔がほころび。
万願寺とうがらしは、とうがらしと言う名とは裏腹に辛みはなく、焼いたり、炒めると旨みが出て結構はまる方が多い一品です。
お盆に訪れたときの京都の農家さんの言葉。
太秦の長澤さん
「その野菜本来の味が出るように育てるんだよ」
吉祥院の石割さん
「与える肥料や栽培管理で野菜の味は変わってくる。野菜がどういった味になるのか。それをイメージして栽培している」
どちらもただ育てると言うのではなく、野菜が料理の素材としてどういう味わい・食感・色合いになったらいいかを見据え、種蒔きから苗そして収穫までの成長に寄り添っているということ。
これは結構衝撃でした。
『姿勢が違う!』
野菜が順調に育てばいい、と通常は考えます。
順調に、の目安は、苗の根張りの様子、葉の色加減や、茎の太さ、葉脈の状態などなど、見るポイントはいろいろ。
しかし、どういう味になってほしいか考え、そのために野菜の状態を見、必要な手を打つ。
これってかなり高度なことです。求める品質が明確であればあるほど、成長過程、栽培手順によってその結果がどう影響するか、アンテナが鋭くなります。
さらにすごいのが、『とらわれない』ってところ。
野菜をおいしくするためなら、手段は問わず、自らの経験も疑って、素直に野菜に向き合い、どんどんチャレンジしていく。常により上を目指し精進されているのです。
まさに『想像力は創造力』です。