豆富・笑味・我張る

すず辰雪看板

今週3/10-14と京都のおいしいとうふがやってきています。

とうふというと、一般には「豆腐」と書きますが、「腐る」という字を嫌い、「豆富」と書くおとうふ屋さんもあります。実際「豆富」と書き出すと、「豆腐」よりイメージがよく、「豆富」か「とうふ」と書きたくなってしまう自分がいます。

「腐」には、「柔らかく弾力がある様」を示す意味があるので豆腐と書くとの話や、元来消化の悪い大豆を水でふやかしすりつぶし、食べられる状態にした、「大豆をくずした」という意味で「豆腐」としたとの話など由来は諸説あるようですが、表記一つでイメージが変わる漢字っておもしろいものです。

漢字の表記で気になっているものといえば、何かと悩まされている「賞味」期限があります。「ご賞味下さい」と言ったりもします。意味は「おいしいとほめて味わうこと。ほめて食べること。」。賞味期限とは「おいしいとほめて味わっていただける期限」ってことですね。

一方、「笑味」という表記もあります。こちらは「食べ物を贈るときに、つまらない物ですがお笑い種(ぐさ)に食べてください、と謙遜して言う語。」で、「ご笑味ください」と使います。物を渡すときに「ご笑納ください」というのと同じ意味合いです。

本来は謙遜の意を含みますが、字面的には『おいしくて思わず笑みがこぼれるような味。おいしくて笑みがこぼれる様。』とも見えてくるんですね。なので、店主的には「すず辰の野菜たちをどうぞご笑味ください。」と書きたくなるのです。本来の意味はどうあれ、何か楽しげな漢字の表記です。

そして、「我張る」。「我を張る」ってことですが、「頑張る(がんばる)」の語源が、この「我を張る」であるという説があります。

「我を張る」ってあまり良い意味合いには使われませんが、「我(自らの想い)を押し通す、とは自らの想いを事業にする経営者にはとても大切だよ」、とすず辰開店時に友人のTさんに教わった大切な言葉であります。

お客さんに喜んでもらうために、独りよがりにならぬよう気をつけつつ、すず辰ならではのサービス(我)を作っていく。ありきたりでない店の個性(我)を今後も追及して我張ります。

字面のイメージや、微妙な意味合いの差、語源などに思いを致すと、漢字って本当に面白いなぁ、と思う今日この頃です。

おまけ:「曲がった辰と書
いて、農」と学生時代に先輩に言われました。
「農(業)」とのつながりを強く感じた瞬間でした。

ちなみに、すず辰は、店主の名前、鈴木辰徳を縮めたものです。店名で悩んでいた時に、女房の一声で決まりました(笑)。「鈴辰」では固いので「すず辰」としました。

名前に人生が刻まれてたのかなと思ったりしています。

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