ほれて すすめる

学生時代、よく友人を誘っていった場所。一つは、お盆の五山の送り火で
有名なあの京都の大文字山です。銀閣寺前を少し左にそれて山道へ。ふもと
から30分ちょいで大の字へ。山裾の木々の間をず~と上り、最後の階段を上
りきると急に視界が開け、そこから京都盆地を一望できます。ちょうど階段
を上りきったーという達成感とともに、顔を上げたときに展開される空間の
広がりとともに感じる解放感、そしてちょっと前まで自分たちがいた街並み
がすぐ下に広がる面白さ。時間があるときは、そこからさらに山の奥に進む
と、滋賀越えや祇園の方に抜ける道があり、散策として楽しいものでした。
時には気になる子を誘って山頂での反応を見てみたり。
次に、鞍馬寺の本堂「地下」。たまたま見つけたのですが、薄暗い空間に
ロウソクの炎が揺らぎ、通路の両側を骨壺のような陶器の壺が所狭しと並んでい
て、異空間に迷い込んだ気分に。通路をたどっていくと中心に3体の仏像が
現れドキッとします。観光客が少ない時期に行くと上からの雑音もなく、不思
議な体験ができます。どちらの場所もよく知られた場所の知らない体験。振
り返ると、自分が感じた快感を人に伝え、追体験してもらって喜こんでもら
う。そういうことが昔から好きなようです。

これが今も生きています。自分が「これは」と思った農家さんのおいしい
野菜・果物を伝える、食べてもらう。そして「おいしい」と思ってもらって
うれしくなる。この循環が今のすず辰の基本です。ここで大切なのが「ほれ
ること」と「すすめること」。「これっ」と思った野菜・果物にほれ込む。
作り手の農家さんの人柄に惚れる。もうこうなれば後は、伝えるだけ。どう
伝え、どうすすめるか。あまり言いすぎても感動が薄れますし、でも興味を
ひかないと食べてもらえないし。そこらへんの微妙なところが難しくも面白
く。あえてPOPを手書きにするのも、「ほれた」熱量を伝えるには手書きが
一番いいと思っているからです。逆に勘の鋭い方だとPOPの書きようでその
商品への思い入れの程度も知れてしまいそうですが。まぁ、それもご愛嬌っ
てことで。

4/28、ほれた農家さんたちについて、地元で話をする機会を得ました。
そちらの内容はまた今度。よいGWをお過ごしください。

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