京野菜がおいしいわけ(前編)

11/20京大の間藤教授と一緒に京野菜の農家さんを4軒
回ってきました。テーマは「京野菜がなぜおいしいのか?」。

まず最初の疑問は、「なぜ夏蒸し暑い『盆地』でおいしい
賀茂なすや万願寺とうがらしができるのか?」 冬場の冷え込
みは野菜の甘さに直結するのでいいのですが、夏の熱帯夜は
人間だけでなく野菜にとっても成長の妨げになるので、いい
環境とは思えなかったのです。

ところが、『朝もや』がいいみたいなんです。昔からの産
地は上賀茂や大原などの盆地の北部、山手に近い地域。ここ
らでは朝もやが発生し、太陽の直射日光を和らげ(強すぎる光
はストレスになる)、また朝露が野菜につくことで、野菜全体の温
度が下がり、光合成でできた糖分をためやすくなるとか。茶
畑も「朝もや」がかかる山あいがいいといいますし。おいしい
枝豆として有名な山形の「だだちゃ豆」を生む庄内地方も「朝も
や」がおいしさの要因の一つだとか。うーん盲点でした。さら
に訪れた農家さんの一人からとどめの一言。「朝もやが発生す
るのでわざと川べりの畑を選んで栽培している」。これは決ま
りですね。ヨーロッパではアルプス山麓の産地の野菜がおいしいと評
価されて出回っているそう(友人のフレンチシェフの話)。山あいは寒
暖差もあるし、「朝もや」は当たり前だし。過疎地の代名詞にな
っているような棚田や段々畑が広がる地域が、本当はおいしい
野菜を生み出すポテンシャルが高い地域なのかもしれません。朝と
晩の寒暖差とともに、朝もやによる「緩やかな温度変化・日射の
変化」も大切なんですね。「ギャップと優しい一面」、なんか人間
の魅力のようですね。

ちなみに種取りしている農家さんは少なく、ほとんど市販の種
で栽培されているそう。但し、夏場の賀茂なす栽培には、「水やり
」を気をつけているとのこと。あの繊細で旨みの詰まった肉質を
生み出すには、そのための水管理が必要みたいです。ここら辺は
技ですねぇ。そしてすべてのおいしさに繋がるキーワード、それ
は!? (後編に続く。)

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