【362】元データを見直す大切さ。

週刊すず辰362号より抜粋】

まずは引用から。『例えばスーパーで200円のキャベツを買ったとします。その「原価」つまり、農家の方が手にする収入はいくらかご存知ですか?ざっくりいって、20円です。つまり、180円が中抜きされています。これが、日本の今の経済社会の歪みを象徴的に表しています。』

とあるウェブ上の論考で、タイトルに『「野菜の値段の9割は中間マージン」の衝撃』とあった文章なのですが、青果の流通業界にいる身として、「えっ、本当?? どっからそんな数字が出てくるの?!」といった感じだったのです。

コンサル会社マッキンゼーの資料が元になっているというので、元資料をザーッと見てみました。そこで見つけたのが以下(8ページに)です。
『サプライチェーンにおける中間業者のコストは、生産額の約9割にも上る』
『加工用や外食向け以外で、直接、消費者に販売される生鮮食品の生産・輸入額は 3.1 兆円だ。驚く べきことに、それに対して実に2.8 兆円の流通マージンが上乗せされている。これらは、主に卸市場 における手数料や配送にかかっている費用である。日本の農業全体に非効率を引き起こしている可能性があり、他国とのさらなる比較を通じて実態を知る必要がある(図表 8)。』

これ気を付けて読まないといけないのですが、「 2.8 兆円の流通マージンが上乗せ」されているので、小売額は3.1+2.8=5.9兆円なんです。

なので、生産額を100とすると、90の流通マージンが上乗せなので、小売額は190。

スーパーで200円のキャベツのうち、農家さんの手取りは20円でなく約105」が正解です。
※200円×100/190≒105円

 

200円のうちの20円と、200円のうちの105円では全然違います。

きっと「日本の青果物流通は非効率的で、いろいろ改革しないとしょうがない!」という思い込みが先にあって、ふと見た資料を自分にいいように勝手に変換(間違って理解)して偉そうに論評。。。

困ったもんです。そして、そんなでたらめな話が、業界のことを知らないけど影響力のある人が安易に拡散してしまう現代社会。

元データを見直す大切さを改めて感じました。

東京時代の先輩で、生鮮流通コンサルタントのやまけん(山本謙治)さんがより詳しい解説をブログで挙げてくれています。よかったらあわせてどうぞ。

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