全ての「八百屋」が青果店になる日。

皆さん、「図書館戦争」という小説をご存知でしょうか。
http://www.kadokawa.co.jp/toshokan-sensou/

有川浩(ありかわひろ)さんの著作で、近未来に検閲が法律で是とされ、検閲を担当するメディア良化員会と、それに抗う図書館との闘いを描いた作品です。

シリーズ4部作の第3巻「図書館危機」の中のお話に、「八百屋という言葉が『使用に注意を要する軽度の差別用語』であり、文章中に使われるとその書籍が検閲対象になるという記述が出てきます。(物語では「床屋」という表現が問題になるのですが。)

思わず「なんじゃーそりゃー!!」と、小説内の設定であるにも関わらず怒りがふつふつとこみあげてきました。

店ののれんには「八百屋」と入れていますし、道新(北海道新聞)さんの「立待岬」のコラムでは「八百屋すず辰店主」との肩書きで載せてもらっています。

八百万神(やよろずのかみ)の表現にもあるように、「八百」に、季節によって変わる様々な野菜果物を扱う、って意味合いも感じられ、誇りを持って使っている呼称を、勝手に差別用語にされるなんて!!

調べてみれば、今でも放送禁止用語であるらしく、青果店と言い換えるそうです。

本人が八百屋というのはよし。「八百屋さん」とさん付けすればよいとか。

自主規制だそうですが、善意の名の下に言葉狩りがされることに脅威を覚えます。

検閲は憲法で禁止されています。憲法第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 」 しかし、将来は…。

店主の実家のある大阪で11月に府知事と市長のダブル選挙が行われます。

大阪維新の会に批判的な発言をしていた京大の藤井教授が、番組の公平性を害するとの維新側の指摘から、レギュラー番組を選挙が終わるまで出演しないという事態が起こっています。
http://mainichi.jp/select/news/20151017k0000e040273000c.html

維新の指摘に対抗できないテレビ局もどうかと思いますが、これではまさに「言論弾圧」です。http://satoshi-fujii.com/shinnihon2-151020/

言葉が狩られ、議論がまともにできない世界が近づいて来ていないか、本当に心配です。

「八百屋」というのれんが外され、青果店すず辰と名乗らざるを得ない日が来ないことを祈っています。

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