【356】親の心子知らず、子の心親知らず。

【週刊すず辰357号より抜粋】

日曜日。七飯町大沼の軍川にある山田牧場さんが主宰の、地球発酵会議の第3回に行ってきました。

ドキュメンタリー映画『ある精肉店のはなし』。
大阪は貝塚市にある北出精肉店は、店の裏で牛を買い、近所のと畜場で牛を割り、解体し、それを店で売る。命をいただく行為ながら、今の社会だとなかなか見ることのない世界。

というわけで、「食べる」ことの根源をしっかり見てもらえたら、と思い、子どもら3人連れて行ったわけですが、行く前から「どこ行くんさー」「えー、お肉屋さんの話?なにそれー」、てなもんで。

「君らはお肉を食べるやろ? 牛肉とか豚肉とか。元は生きてたわけやん?それがお肉として出てくるのはどういうことか見てほしいんや」と言ったことを神妙に話し、結果映画を見て何かを感じ取る子どもたち__とはならず。

会場のつくしの子保育園が何とも素敵な空間で、広々とした大広間は、かけ回れ、飛び乗る台があり、登り棒もあり。園庭には大きな砂場があり、泥団子を作り遊ぶ子ら。近所を散策に出る子ら。まぁ、遊ぶには最高の場で、映画そっちのけで、遊ぶ遊ぶ!

映画の方は、牛が解体されていく様を見つつ、学生時代に行ったタイの結婚式を思い出しました。

村の若者の結婚式で。村総出でお祝い。祝いの席ということで、親族が奮発し、豚一頭丸々姿焼き。そしてその後の解体。「命をいただく」という根源を見た気がしたのです。

 

北出精肉店でも、命を余すところなく、ということで、内臓もそれぞれホルモンとして、お惣菜として調理して、すべて販売。日常の中で淡々と当たり前に行われていく行為が、とても自然と沁みてきました。そして、長い歴史の中で、と畜する行為を禁忌とされ、差別されてきた歴史の話も。

親の思惑は外れ、子どもらは最後まで元気よく園の中を鬼ごっこして駆けずり回っていましたが、身体いっぱい使って遊んで、「えー、もう帰るのー」と名残惜しむほど。それはそれで、来てよかったのかなと思いつつ、家路へ。

 

親も子も、互いの心知らず。まぁ、日常は続きます。

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