TPPについての懸念いろいろ

いよいよネタに詰まったので、先延ばしにしてきた「TPP(環太平洋
パートナーシップ協定)」について、店主なりの理解と懸念について書かせ
ていただきます。今回は「ちょっと」でなく「結構」まじめな話です。

TPPというと「関税をなくす話」との理解が大半で、その点で農業
界が騒いでいるという印象かと思いますが、それは問題の一部でしか
ありません。多国籍企業が国をまたがって自由に経済活動を行うため
に、あらゆる規制を撤廃し、ルールを統一しようというのがお題目です。
この中で、「非関税障壁」という言葉が出てきます。例えば、アメリカで
は遺伝子組み換え作物は一般流通されていますが、日本の場合、遺伝
子組み換え作物を使った加工品にはその表示が求められ、結果日本人の大半
が敬遠しています。この点に関し、アメリカ側の企業は「科学的に安全性
が立証されているのでわざわざ表示するのはおかしい」と言っています。
日本的には「科学的にどうこうは抜きにしてとにかく気持ち悪い」とい
うのが「遺伝子組み換え作物」についての認識だと思います。この日本
人の感覚が商売上「障壁」になるので失くせというのがアメリカの種苗メーカー
の言い分です。他にも狂牛病の規制に当り、月齢が何か月の牛までを輸
入するかどうかや、残留農薬や収穫後の農薬使用の規制など日本とアメリカ
で異なるルールがいろいろあります。多国籍企業は他国のこのような感覚
や文化からできたルールが自らの経済活動に障害となる場合、その国を訴え
ることができます。「ISDS条項」といわれ、世界銀行傘下の国際投資紛争
解決センターで審議されるため、一方的に国が賠償請求を受ける場合があり得
ます。
同じような形で医療制度も変わってしまうとの懸念もあります。日本は
「国民皆保険」ですが、このような国はまれで、アメリカでは一般の保険会社
が診療保険を行っています。公の保険制度は通常のビジネスの邪魔になると
の認識になってしまうと、保険制度が壊れ、お金のある人だけが医療サービ
スを受けるなんてことになってしまいます。「規制の弊害」もあるかと思
いますが、なんでも壊せばいいということではないと思います。

多国籍企業がお金を稼ぎやすくし、投資家にお金を還元しやすくするた
めに、それぞれの国の事情は無視して統一したルールを作ってしまおうという
のがTPPだと思います。怖くないですかTPP。

選挙前、あれだけ「TPPに断固反対」と言っていた北海道選出の議員の
皆さんも。当選後は「党首である安倍さんが決断したのであれば、党員と
して真摯に受け止め、ついていくのみ」といった発言をされ、TPPへの交渉
参加をなんとなーく認めてしまっています。
なんとか国会での条約批准を止められないかと思うのですが、さて。

一方で、あれだけの複数の国々がそれぞれの言い分を好きに言い合っていて
はまとまらないのでは、という話もあります。それならそれでいいのですが。
それにしても、根っこには多国籍企業および一部巨大投資家が自らのお金を
増やすためだけに自己増殖しようとしている姿が思い起こされ、ほんと怖いな
ぁと思う今日この頃。まるで、人間社会から生まれた「がん細胞」みたいです。

少ない紙面で伝わったでしょうか。質問等はいくらでも受けますのでどうぞ。

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