種は市販のもので一緒。環境では、盆地ながら「朝もや」が効いて
くることがわかりました。では更なるおいしさを作るのは、やはり
農家さんの技?、と思い、いろいろ聞いていくと共通点が。
太秦の長澤さん「その野菜本来の味が出るように育てるんだよ」、
吉祥院の石割さん「与える肥料によって野菜の味は変わってくる。あ
と途中の管理でも。だから、野菜が調理されたときにどういった味
になるのか、どう味わってほしいのか。それをイメージして栽培してい
る。」 これって、どちらも、ただ育てると言うのではなく、食べ物
としての野菜が素材として、どういう味わい・食感・色合いになったら
いいかの最終イメージをちゃんと見据えて、種蒔きから、苗の定植、水
の管理、追肥等をやっているということ。これは結構衝撃でした。
『姿勢が違う!』と。
野菜が順調に育つように、と考える農家さんは結構います。順調に
の目安は、苗の根張りの様子、葉の色加減や、茎の太さ、葉脈の状態
などなど、見るポイントはいろいろ。(その見極めによって、ときに
野菜と対話しているように見える域に達する方も)その上で、どうい
う味・おいしさになってほしいか考え、そのために今の野菜の状態を見
、必要な手助けを先々を考えて手を打つ。これってかなり高度なこと
です。求める品質が明確であればあるほど、途中の成長過程、栽培手
順によってその結果がどう影響するか、アンテナが鋭くなります。さらに
すごいのが、『とらわれない』その姿勢。おいしい野菜を作るためな
ら、手段は問わず、自らの成功体験も疑って、素直に野菜に向い、そ
の声を聞き、どんどんチャレンジしていく。常により上を目指し精進され
ているのです。
京野菜は京都の料理人たちの高い要求に答え、品質を高く保つこと
で評価されてきたという歴史的背景もあります。「おいしく美しい料
理を生み出すのためのおいしい素材」、それを生み出す京都の農家。
その気概と、料理人との対話の中で、日々おいしい野菜を目指してい
る。これこそ京野菜のおいしさを生む底力です。